ナショナルチームのジョーカー・広瀬優一七段「つるりん式観る碁のすすめ~こぼれ話」


 ここでは週刊碁連載中の「つるりん式観る碁のすすめ~四字熟語編」で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。(つる=鶴山淳志八段、りん=林漢傑八段

 今回はもつれた局面をスパッと解決する碁界の沖田総司(?)、広瀬優一七段を「快刀乱麻」の四字熟語とともにご紹介しました。つる&りんいわく「広瀬くんは複雑な局面を切れ味良く切り抜ける力が抜きん出ている」そうです。そして、その切れ味の良さで日本が苦戦を強いられている国際戦で好成績を挙げていることを、皆さんはご存じでしょうか?




 昨年、日本が日中友好チームとして参加した中国乙級リーグは2勝5敗1引き分けで丙級リーグに陥落。世界の層の厚さを身に染みて感じる結果になりましたが、広瀬七段は1人6勝2敗と勝ち越しました。広瀬七段は関航太郎天元上野愛咲美女流立葵杯と同じ藤澤一就八段門下で同じ年。「世界を目指す」がモットーの藤澤八段門下らしく、ナショナルチームの切り札的ポジションを確立しつつあります。 本コラムではそんなナショナルチームのジョーカーともいうべき広瀬七段にインタビューを行いました。

(インタビュア=編集K)

  • ― 乙級リーグでは6勝2敗と勝ち越され、KBリーグ(韓国リーグ)でも強豪相手に白星を挙げています。国際戦で強い印象があります。
  • ○ ありがとうございます。でも「最近国際戦で勝っているね」と国内戦の成績がいい人に言われることが多いのがちょっと(笑)。僕としては国内戦も頑張りたいと思っています。
  • ― 国内戦の成績も悪くないように見えるのですが・・・。
  • ○ いや、でもなかなか上に行けなくて、本当にすぐに負けてしまうので、もっと頑張りたいです。
  • ― 広瀬七段はご自身ではどんな棋風だと思われますか?
  • ○ 実利は好きです。リードを奪ったら戦いを避け、できるだけ安全に勝とうとする傾向があります。ヒドイ楽観派だったのですが、最近強く楽観しないように自分に言い聞かせるようになって、少し成績が上がりました。でも、いい時と悪い時の差が激しいです。よく将棋の藤井聡太さんのAIグラフが右肩上がりで「藤井曲線」っていうじゃないですか。僕の場合は右肩上がりで勝つ時もあるけれど、右肩下がりで負けることも多いんです。
  • ― 「広瀬曲線」はa<1の時があるんですね・・・。そういえば、広瀬七段が新人王を取られた時、将棋の新人王は藤井五冠でした。合同表彰式でお2人並んで表彰されていましたね。
  • ○ 今、藤井さんは雲の上の存在ですが、そうなんです。
  • ― 今後の目標をお願いいたします。
  • ○ 国内で活躍しないと国際戦に出してもらえないので、どの棋戦も全力で頑張ります。そしてゆくゆくは僕の曲線も右肩上がり一本に統一したいです(笑)。
記・編集K