SNS活用ガイドライン

昨今、SNSは広報・公聴活動の有力なツールになっている一方、配慮の欠ける発信により炎上して社会問題になることが頻発している。日本棋院において囲碁普及のためSNSを積極的に活用するため「SNS活用ガイドライン」を作成して、日本棋院に所属する棋士・職員等の規範とする。

棋士SNS一覧
公式SNS一覧

  1. 策定の背景と目的


     日本棋院においては、各棋士や棋院事務局のブログ、ツイッターアカウント、Facebookを立ち上げるなど、ソーシャルメディアを活用した情報発信を行っている。今後は、さらに棋士による活用事例が一層増えることが想定される。
     また、プライベートにおいても、ソーシャルメディアを活用する棋士・職員が増加し、スマートフォンの普及と相まって、場所と時間を問わない気軽な情報の受発信が行われている。しかし、日本棋院の一員として知り得た情報を発信したり、他の利用者とトラブルを引き起こしたりといった不測の事態も想定される。
     このような状況を踏まえ、棋士・職員等が業務またはプライベートでソーシャルメディアを利用する際の指針として、本活用ガイドラインを策定する。
  2. ソーシャルメディアの定義


     このガイドラインにおけるソーシャルメディアとはFacebook、ツイッター、ブログに代表される、インターネットなどを利用してユーザが情報を発信し、あるいは相互に情報をやり取りする伝達手段を指す。
  3. ソーシャルメディアの特性


    〈匿名性の低さと実名の運用〉

     ソーシャルメディアは、匿名による運用を行っていても、過去の投稿内容や交流相手などから比較的容易に投稿者を特定することができるので、高い自律意識を持って情報発信と交流を行わなければならない。
     特に実名でのアカウントは、日本棋院の一員として、社会的な常識やマナーをわきまえた言動を心がける。

    〈ネットワークと情報拡散スピードの速さ〉

     ソーシャルメディアは、インターネットの即時性と相まって情報(特にネガティブ情報)の拡散スピードが非常に速いことに注意が必要である。 また、ソーシャルメディア上での話題は、インターネットのニュースメディア、テレビのマスメディアでも取り上げられる。

    〈事前チェック機能の有無〉

     ソーシャルメディアとマスメディアの大きな違いは「事前チェック機能の有無」である。新聞やテレビなどでは、誤字や表現について他者のチェックが入るが、ソーシャルメディアにはこうした他者のチェックは入らない。事実誤認に限らず、ルール違反も存在してしまう可能性がある。

    〈半永久的に保存されるデータ〉

     ネット上に公開され、一度拡散してしまった情報は、たとえ削除したとしても、転送、コピーされることでいつまでもネット上に残り続ける。
  4. 業務編


    〈適用範囲〉

     この指針は、日本棋院の広報・公聴活動として、業務のために日本棋院の公式アカウントによりソーシャルメディアを利用する場合に適用する。

    〈遵守事項〉

    (1)運営主体・運営ポリシー
     公式アカウント作成時は、担当者と管理者を定め、事前にアカウントの目的、投稿内容、表現の硬軟度合い、決裁の要・不要などを確認し、プロフィール欄などで運営主体と目的を明らかにする。

    (2)情報発信
     公式アカウントにおける情報発信では、日本棋院としての自覚と責任を持ち、社会的な常識やマナーをわきまえた言動を心がける。

    (3)コメントへの対応
     ソーシャルメディア上での議論に耳を傾け、真摯に受け止める。コメントへの対応については、細心の注意を払う。
     また、情報発信を行う場合は、プロフィール欄などにその旨を記載する。

    (4)法令・規定・守秘義務の遵守
     日本棋院定款、棋士規定、職員就業規則をはじめとする規則および職員の服務や情報の取り扱いに関する規定などを遵守する。
    また、個人が特定できる写真や映像、文章などを投稿する場合は事前に本人や所属団体、企業などに了解を得るなど、基本的人権、肖像権、プライバシー権、著作権などに十分留意する。

    (5)情報共有
     業務に直接関わりがなくても、日本棋院に関する重要な記述をソーシャルメディア上で見つけた場合は、所属長に速やかに連絡する。

    (6)なりすまし・乗っ取りへの対応
     公式アカウントに心当たりのない情報が掲載された場合は、情報の内容を確認し、速やかに所属長に連絡する。
     なりすまし・乗っ取りによる被害を最小限に抑えるため、管理するアカウントについては日ごろからこまめにチェックをする。

    〈禁止事項〉

    (1)日本棋院の公式見解でない情報および秘密情報の発信
     日本棋院の公式見解でないもの(意思形成過程にある政策や事業内容)は決して発信してはならない。取り扱いについては細心の注意を払い、勝手な言及や、憶測含みの発言は厳に慎む。噂や未発表の事柄について尋ねられた場合も同様とする。
     また、業務上知り得た個人情報や機密情報、日本棋院、スポンサーのセキュリティを脅かす恐れのある情報などを発信することを禁止する。
     タイトル戦などの棋譜の掲載、対局結果の公開は十分な注意を払う。

    (2)誤解を招く発信
     発信する情報は正確を期すとともに、その内容について誤解を招かないよう留意する。伏せ字を使うなど、要らぬ詮索を招くような記述も避ける。
     また、同じ内容を何度も繰り返し投稿することは、スパム行為と見られ忌避されるため行わない。

    (3)けんかの売り買い
     発信した情報に関し攻撃的な反応があった場合は、冷静に対応し、無用な議論となることは決して行わない。
  5. プライベート編


    〈適用範囲〉

     この指針は、日本棋院に所属する者(棋士・職員・契約職員・パートナー職員等)が、個人の立場でソーシャルメディアを利用する場合に適用される。

    〈遵守事項〉

    (1)日本棋院棋士・職員等としての発言
     ソーシャルメディア上で自身の職務内容や、日本棋院に関する意見や見解を公開する場合は、身元を明らかにし、免責文をプロフィール欄などに明記する。

    (2)誠実な対応
     ソーシャルメディアの利用に当たっては、個人の発言の自由、思想の自由を尊重するが、情報を発信する場合には、日本棋院の成員としての自覚と責任を持った言動を心掛ける。
     意図せずして自らが発信した情報により誤解を生じさせたり、他者を傷つけたりした場合には、その事実を率直に認めて早急に訂正するなど、誠実に対応するとともに、正しく理解されるよう努める。

    (3)法令・規定・守秘義務の遵守
     棋士や職員の服務や情報の取り扱いに関する規定などを遵守する。なお、棋士・職員がこれらの規定等に違反した場合は、規定や規則に則った処分を受けることがある。
     また、個人が特定できる写真や映像、文章などを投稿する場合は事前に本人や所属団体、企業などに了解を得るなど、基本的人権、肖像権、プライバシー権、著作権などに十分留意する。

    (4)情報共有
     ソーシャルメディア利用をしたことによりトラブルが発生した場合や、日本棋院に関する重要な記述をソーシャルメディア上で見つけた場合には所属長と広報室まで速やかに連絡する。ネガティブな評判を見つけて、その中に事実誤認が含まれていたとしても、その場の個人の判断で否定や反論をすることは避ける。

    〈禁止事項〉

    (1)秘密情報の発信
     業務上知り得た個人情報や機密情報、日本棋院のセキュリティを脅かす恐れのある情報などは、発信することを禁止する。
     業務について発言する場合は、意思形成過程における情報の取り扱いに十分留意し、勝手な言及や、憶測含みの発言をすることは厳に慎む。噂や未発表の事柄について尋ねられた場合も同様とする。タイトル戦などの棋譜の掲載、対局結果の公開は十分な注意を払う。

    (2)誤解を招く発信
     発信する情報は正確を期すとともに、その内容について誤解を招かないよう留意する。伏せ字を使うなど、要らぬ詮索を招くような記述も避ける。
    また、同じ内容を繰り返し何度も投稿することは、スパム行為と見られ忌避されるため行わない。

    (3)けんかの売り買い
     自らが発信した情報に関し攻撃的な反応があった場合は、冷静に対応し、無用な議論となることを避ける。

    【以下の情報については具体的な発表、発言を禁止する】
    ・人種、思想、信条などの差別、または差別を助長させる情報
    ・違法行為または違法行為を助長させる情報
    ・単なる噂や噂を助長させる情報
    ・わいせつな内容を含む情報
    ・その他公序良俗に反する一切の情報

    (4)業務時間中の利用
     棋士の対局中の利用は禁止する。また、職員には職務に専念する義務が課されているので、業務として利用する場合を除き、就業時間中の利用は厳に慎む。

    (5)関係の強要
     FacebookやLINE等、個人を特定することができるソーシャルメディアにおいては、仕事とプライベートとのけじめをしっかりつけ、相手との距離感を正しく認識する。特に職場の上司や同僚であることを理由に、「友達」になることや返信・コメントを強要することなどは、パワーハラスメントに当たるため行わない。