初代中庸・林漢傑八段の中庸戦徹底解説2022(3)―第5代中庸を大予想!【コラム:品田渓】


 10月29日(土)、30日(日)に行われる第5回SGW杯中庸戦本戦に向けて第1回大会覇者の林漢傑八段に見どころを聞いています。「初代中庸・林漢傑八段の中庸戦徹底解説2022(1)」と「初代中庸・林漢傑八段の中庸戦徹底解説2022(2)」では出場棋士を紹介しました。出場棋士は中小野田智己九段三村智保九段大垣雄作九段秋山次郎九段溝上知親九段河野貴至八段松本武久八段鶴山淳志八段安斎伸彰八段志田達哉八段久保秀夫七段鈴木歩七段向井千瑛六段柳澤理志六段寺山怜六段村松大樹六段の16人。ここでは第5回の優勝者は誰か、林八段に予想していただきます!

(林漢傑八段=林、ライター品田渓=品)

  • ) さて、いよいよ私の予想ですね!昨年はいろいろな方から「全然当たらないじゃないか」と言われてしまったので、今年は熟考に熟考を重ね、これしかないという予想を立ててきました!
  • ) 自信がありますか?
  • ) はい。自信しかないです。
  • ) では、昨年同様、「本命」「対抗」「漢傑のオススメ」をお願いいたします。
  • ) とその前に、私は研究に研究を重ね、ついに中庸の法則を見つけてしまいました。
  • ) その法則とは。
  • ) 初出場初優勝の法則です。第1回の私、第2回の黄翊祖九段は初出場で初優勝し、第4回の潘善琪八段は本戦初出場で初優勝。4人中3人ですから、かなりの確率です。
  • ) つまり、本命は初出場の方ということですか?
  • ) そうです。私は志田八段を本命に推したいと思います。2018年のNHK杯で準優勝するほど早碁が得意で、現役名人リーガー。そして、中庸に相応しい渋さを兼ね備えています。
  • ) 渋さは関係あるんですか?
  • ) あります。歴代中庸を見ても、私を含めてみんな落ち着きのある渋い大人ばかりですね。
  • ) ・・・わかりました・・・。では、対抗をお願いいたします。
  • ) 対抗は私、とても悩みました。志田八段と同じ視点で言えば寺山怜六段はかなりの有力選手ですし、唯一5回連続本戦出場を果たしている「つる」こと鶴山八段もやはり、実績を考えると優勝候補と言わざるを得ません。ただ、私はあえて松本武久八段を対抗に挙げたいと思います。
  • ) 理由をお願いします。
  • ) 私の願望ですが、寺山六段にはもう少し中庸戦に出場していてほしいんです。あと、鶴山八段はどうも連続出場に魂を燃やしているのではないかという疑惑があるんですよね。これだけ実力があって連続本戦入りをしているのに、未だに優勝しないということは、よほどスタミナがないか、もしくは連続出場することに力を入れ過ぎて本戦では力尽きているかのどちらかです。
  • ) つまり、鶴山八段の優勝はないと。
  • ) 相方ですし、本当に心から応援しているんです。でも、断言します。優勝はつるさんではありません(笑)。
  • ) わかりました(笑)。それで、松本八段なんですね。
  • ) 初出場初優勝の法則からは外れますが、真面目で真っ直ぐな方ならば法則は関係ないということを第3回優勝者の金澤秀男八段が証明しています。松本八段はとても真面目ですし、勢いに乗ったら誰にも止められないようなところがあります。もし、1日目に2連勝したら、かなりの確率で優勝まで行くのではないでしょうか。
  • ) 最後に、オススメをお願いします。
  • ) たしか前回オススメに挙げたのは大垣九段でしたね。大垣先生は今年も出場してらっしゃいますし、相変わらずオススメなのですが、実は前回大垣先生からクレームが入ったんです。「記事読んだら僕がオススメされてるじゃない。それで緊張しちゃってダメだったよ」って。
  • ) なんと!
  • ) 大垣先生は今回も読んでくださっている可能性が高い。となれば、先生が実力を発揮されるためにもオススメするわけにはいきません。ということで、今回オススメするのは溝上九段です。
  • ) 理由をお願いします。
  • ) 溝上九段は元々実力はピカイチです。加えて最近かなり調子がいいんですよね。前回準優勝者の奥田あや四段を破って本戦入りをしていますし、他の棋戦でも今ブイブイ言わせている「ウニ」こと鈴木伸二七段に勝っていたり、充実ぶりがうかがえます。あと、イケメンです。
  • ) イケメンは関係ありますか?
  • ) もちろんあります。しかもただのイケメンではありません。アンニュイな色気漂う中庸らしいイケメンです。前回優勝者の潘八段と少し雰囲気が似ていることからも、相当な有力候補と見ました。
  • ) 「本命」は志田達哉八段、「対抗」は松本武久八段、「漢傑のオススメ」は溝上知親九段ですね。ありがとうございました。では最後に中庸戦本戦に向けてファンの方に一言お願いします。
  • ) 10月30日(日)の決勝戦は日本棋院で前回優勝者の潘八段による大盤解説会が行われます。無料でご参加いただけますので、ぜひ会場にお越しください(新型コロナウイルス対策のため事前申込み制で先着80名様です。お申込はこちら)。そして、私の予想が的中するその瞬間を見てほしい!!今年は外しませんよ!!
  • ) あの、言えば言うほど外れる感じが(笑)。
  • ) そ、そうですか。ま、私の予想はともかく、実力者が初優勝をかけて戦う一局はきっと皆様の心に刺さると思います。早碁で展開が早く、どの碁もネット中継されますので、ぜひ楽しんでください。
記・品田渓


真剣に優勝予想をする初代中庸・林漢傑八段