初代中庸・林漢傑八段の中庸戦徹底解説2022(1)―出場棋士の紹介前編【コラム:品田渓】


 10月29日(土)、30日(日)に第5回SGW杯中庸戦本戦が行われます。そこで、昨年に引き続き、第1回中庸戦覇者の林漢傑八段に、その見どころを聞きました。

(林漢傑八段=林、ライター品田渓=品)

  • ) 待ちに待った中庸戦本戦がいよいよ始まりますか!この棋戦は七大棋戦、竜星戦、阿含桐山杯、SGW杯中庸戦の優勝経験がない、31歳以上60歳以下の「無冠のミドルエイジ」がタイトル獲得を目指します。元気なレジェンドと優秀な若手に挟まれた働き盛りにしか出せない本気と哀愁。私はこれをぜひみなさんに観ていただきたい!!
  • ) 力が入っていますね!先生には昨年も初代中庸として、中庸戦の徹底解説をお願いしました。今年もまたお願いできますか?
  • ) もちろんです!私は自分が初代中庸というのもあるのですが、この棋戦の大ファンなんです。知れば知るほど面白い、観る碁の通にこそオススメしたい棋戦ですね、これは。出場者は全員実力者で、誰が優勝してもおかしくない。誰にとってもここでの優勝は初優勝。早碁で1日2局、2日で4局のリーグ戦だから、初戦で負けても入賞の可能性は誰にでもある。ね、熱いでしょ?
  • ) 熱いです。先生の思いも熱いです(笑)。では早速、もっと中庸戦を楽しめるように、出場する棋士の方、一人一人の紹介をお願いします。今回予選を勝ち抜いて本戦に出場するのは中小野田智己九段三村智保九段大垣雄作九段秋山次郎九段溝上知親九段河野貴至八段松本武久八段鶴山淳志八段安斎伸彰八段志田達哉八段久保秀夫七段鈴木歩七段向井千瑛六段柳澤理志六段寺山怜六段村松大樹六段の16人です。
  • ) ふむふむ、まずは中小野田智己九段ですね。中小野田九段は王座戦の挑戦者決定戦に進出したり、何度も三大棋戦のリーグ入りをしたり、竜星戦で準優勝したり、全方面で実績十分の大変な実力者です。地にカラくてヨセが的確。最近、前回優勝者の潘善琪八段にも勝利していました。
  • ) 次は三村智保九段です。
  • ) 三村九段は早碁のスペシャリストです。なにしろNHK杯優勝の実績を持っています。長年「三村道場」で後進の指導に尽力されていて、最近は茂呂有紗二段近藤登志希二段とお弟子さんが活躍されています。
  • ) 大垣雄作九段。前回3位に入賞されています。
  • ) 大垣九段は早碁での安定感が抜群で、エネルギーのある先生ですね。50代と中庸の中では比較的世代が上ですが、洪道場の師範として日々若い世代と対局をされているからか、感覚がとてもお若いです。
  • ) 秋山次郎九段
  • ) 天元に挑戦したことがある実力者です。手厚い棋風といえば関西棋院の今村俊也九段ですが、実は秋山九段も負けていません。西の「世界一手厚い碁」が今村九段なら、東の「世界一手厚い碁」は秋山九段です。
  • ) ・・・世界一がお二人いるんですか?
  • ) そうですね。同率一位です。
  • ) 溝上知親九段です。
  • ) 溝上九段は昨年の準優勝者、奥田あや四段を予選で破っての本戦出場です。足早で地にカラい棋風。大変な実力者で何度もリーグ入りをしています。
  • ) 河野貴至八段。
  • ) 我々アラフォー世代には「長考三銃士」と言われる人たちがいます。河野八段はその一角です(ちなみにあとの二人は張豊猷八段熊丰七段)。マニアックな読みで気づかないところに鋭く切り込みます。長考派はもれなく秒読みに慣れているので、早碁で実力を発揮する傾向があります。
  • ) 松本武久八段。
  • ) 彼はもっとも見た目と棋風のギャップがある男です。雰囲気はとっても穏やかで、例えるなら動物園のアイドル的存在、カピバラさんのような癒しオーラを放っています。ところが盤上はとても激しくてライオンみたいなんです。
  • ) カピバラからライオンはすごいですね・・・。今、7人まで紹介していただきました。残りの9人は「初代中庸・林漢傑八段の中庸戦徹底解説2022(2)」でお願いします!
記・品田渓


第5回SGW杯中庸戦に向けて見どころを解説する初代中庸・林漢傑八段