さようならホリーもん!?【とある編集室の井戸端会議】



新人編集サイトウ
急な異動で周囲の囲碁会話が呪文に聞こえる日々を過ごす、週刊碁歴ぼちぼち1年半のアラフォー。棋力は10級。アニメとワインで現実逃避中。「サンリオ男子」の最終回が至高。ポムポムプリンに親近感を覚えている(体型的に)

先輩編集ホリー
ヒカルになるんだ!と意気込んだものの高段止まり。週刊碁歴約10年、ついに異動したアラサー。某ネコ型ロボットのグッズ集めが癒し。最近、名作が未完で終わる率が高く、失意の底へ。「ベルセルク」は青春だった。
  • サイトウ「ホリーもん、きみがいなくなったら編集室がガランとしちゃったよ。でも...すぐになれると思う。だから......心配するなよ。ホリーもん」
  • ホリー 「誰がホリーもんか」
  • サイトウ「あれ? 異国の地へ異動したはずでは?」
  • ホリー 「そうですね。皆様、ご挨拶が遅れましたが、ホリーは今年の5月に他部署へ異動しておりました」
  • サイトウ「それからというもの、パイセンがそっけなくて。すっかりコラムもご無沙汰ですよ」
  • ホリー 「慣れない仕事に翻弄されて、サイトウさんに付き合う気力が残っていなかったもので」
  • サイトウ「またまた~。そんなこと言って、寂しくなっちゃったんでしょ? コラムを再開したくて、また来ちゃったんでしょ? このツンデレ!」
  • ホリー 「逆です」
  • サイトウ「逆?」
  • ホリー 「今回で最終回です」
  • サイトウ「えええええぇぇ? 僕に断りもなく、何言ってるんすか!?」
  • ホリー 「や、退職するので区切りはつけないと」
  • サイトウ「はあああぁあああ? ホリーもーん!?」

サイトウの軌跡
  • ホリー 「一身上の都合というやつですが、円満退職です」
  • サイトウ「......なんでマブ中のマブ、キングOFマブ達のサイトウに相談しないかなぁ」
  • ホリー 「すみません」
  • サイトウ「別にいいんですけどぉ......。僕とパイセンの絆は、その程度のものだったんですね。ふ~ん......」
  • ホリー 「面倒くさ。ここは『僕一人の力で!君(編集長)に勝たないと!ホリーもんが安心して旅立てないんだ!』くらい言って、奮い立つ流れでしょ」
  • サイトウ「ほほう。僕の成長を確認したいわけですね! いいでしょう! 見さらせ! パイセンが消えた半年間の、熱いサイトウの仕事を!」



  • ホリー 「天元戦第1局ですか。サイトウさんの仕事とは思わなんだ」
  • サイトウ「ドヤ!」
  • ホリー 「ピントずれずれの初期を思えば、本当に上達しましたよね。最後だし、ドヤっていいですよ」
  • サイトウ「ドヤドヤ! 前も言った気がしますが、関くんは僕が育てたといっても過言ではない男。このサイトウの目の前で勝利するとは、師匠孝行ですな!」
  • ホリー 「関さんの様子は、どんな感じだったんですか? (自称)師匠?」
  • サイトウ「番碁初挑戦とは思えないくらい、堂々としてました。緊張って言葉とは無縁なんじゃないですかね。昔から、良くも悪くも図太いタイプだから」
  • ホリー 「図太さではサイトウさんも負けてないでしょう」
  • サイトウ「え~? 謙虚が服を着て歩いているような男ですよ~、ボカァ」
  • ホリー 「とあるタレコミがあって。終局後、立会の先生を差し置いて、対局室へ真っ先に突っ込んで激しく怒られたカメラマンがいるそうです」
  • サイトウ「......」
  • ホリー 「何度も出張に行ってるのに、なんでこんなミスを?」
  • サイトウ「......。関くんの雄姿を一番に納めたいという情熱が先走ったというか」
  • ホリー 「気持ちはわかるんですけど、まだまだホリーもんが安心して旅立てる感じじゃないですね」
  • サイトウ「......」



  • サイトウ「マニアックなので、お話してなかったのですけれど! サイトウのメインワークはこれ! 整理業務ね! 簡単に言えば週刊碁のレイアウト作り! どんな写真を使うか、どこに図を置くか、どんな見出しをつけるかなどなど! 原稿に命を吹き込むお仕事!」
  • ホリー 「上の写真は、11月8日発売予定の週刊碁19面レイアウト用紙ですね。これが実際にどういう紙面になるかは実際に手に取ってもらいたいところ。僕も5年ほど整理をやっていたので、どれだけ大切な仕事なのかは理解しています」
  • サイトウ「週刊碁の要である整理。この1年で、そのエースに成長したといってもいいでしょうね! 難しいと言われてるページも、ちょちょいのちょいですよ!」
  • ホリー 「いや、全然ダメ。なんで見出しをダミーにしちゃうんですか?」
  • サイトウ「え? 後で考えようかなって」
  • ホリー 「原稿をもらって、写真を見る。材料が揃った段階で、どんな見出しをつけるかまでイメージしなきゃ、本当に読みやすい紙面にはならない」
  • サイトウ「......」
  • ホリー 「とりあえず文章がピッタリ収まればいいっていうのが見え見えなんですよね。未だに棋力も上がってないから、とんちんかんな見出しをつけるし。あとは......」
  • サイトウ「やめて! もうサイトウのライフはゼロよ! 最後ぐらい優しくしてくれてもいいのに! この鬼畜パイセンときたら!」
  • ホリー 「......なんで微妙な仕事ばっかり紹介してくるんですか。言いたかないけど、いい仕事もしてるのに」
  • サイトウ「へ?」



  • サイトウ「我々出版部のツイッターじゃないですか」
  • ホリー 「僕のお気に入りのつぶやきです。碁聖戦第4局の昼食」
  • サイトウ「これが~? ただの食い意地の張った人じゃないですか。まぁ、僕のツイートですけど......」
  • ホリー 「僕も週刊碁時代、時々つぶやいてたんですけど、どうしても真面目で面白みのないものしか書けなくて」
  • サイトウ「それはそうっすね」
  • ホリー 「......。サイトウさんの呟きは、画面の向こうに人が見えるのがいいな、と。私見ですけど、公式ツイッターって中の人の個性が少し出てるぐらいが面白いと思いませんか? ワインに合うとか、サイトウさんだからこその呟きでしょ」
  • サイトウ「そうかなぁ......」
  • ホリー 「そうですよ。これとかも」



  • ホリー 「天元戦第1局の開始ツイート。源氏物語モチーフの対局場だなんて、言われなきゃ気付かなかったです」
  • サイトウ「ああ、あれね! 全部の部屋の名前が源氏物語の巻名になってるんですよ! 対局室は「野分」(のわけ)。関くんの控室は「常夏」、一力さんは「行幸」って感じ! テンション上がったな~!」
  • ホリー 「そこまで興奮できるのは、学芸員の資格を持つサイトウさんだから。すごくいいツイートだな、と外野から見てて思いました。上の関さんの原稿に関するツイートも、(自称)師匠が言っていると思うと、笑えるし」
  • サイトウ「自分でも学芸員ってこと忘れちゃうくらいですけどね。でも、そうだなぁ。学芸員らしく、実はやりたいこともあるんですよ!」
  • ホリー 「ほほう」
  • サイトウ「江戸時代の棋士って、星に打つことなかったじゃないですか。実は方角が関係するって説があって。星の位置は鬼門とされていたとか! このあたり色々まとめて連載にしたいなって!」
  • ホリー 「うんうん」
  • サイトウ「あとね! もうすぐ棋院100周年なので、棋院の発展に貢献した100人を紹介するとか! あとねあとね!」
  • ホリー 「......うん。やりたい企画が湯水の如く、ですね」
  • サイトウ「1年以上もいればね~!」
  • ホリー 「やっぱり、もう立派な編集者じゃないですか」
  • サイトウ「......!」
  • ホリー 「あらためて独り立ちしたんだな、と。サイトウさんの企画、今度は一読者として楽しみにしてます」
  • サイトウ「......。......ええ、ええ! 年下のくせに偉そうなパイセンがいなくなって、企画もやりやすいったらないですよ!」
  • ホリー 「偉そうなのは元来の性格なので。......途中からサボリがちになってしまいましたが、一緒にコラムをやれてよかったです」
  • サイトウ「......。そういうのいいから! 僕より読者の皆さんに感謝してくださいよ!」
  • ホリー 「ええ。拙いコラムでしたが、今まで読んでいただいてありがとうございました」
  • サイトウ「今後は僕一人で、もっと面白いのをやりますから! ご心配なく! パイセンはさっさと帰ってください!」
  • ホリー 「お言葉に甘えて。本当にありがとうございました! これからもサイトウさんをよろしくお願いします!」
  • サイトウ「......」

  • サイトウ「......あーあ。ほんとにガランとしちゃった」
  • サイトウ「あっさり行っちゃって。ドラえもんは未来に帰るとき泣いてたのに」
  • サイトウ「しょせんホリーもん、パチモンか~」
  • サイトウ「......。今日は帰ろっかなぁ」

  • ホリー 「あ、そうだ」
  • サイトウ「!?」
  • ホリー 「言い忘れたんですけど、退職後は観戦記者などをやらせていただく予定です。たっぷり褒めた分、仕事ください」
  • サイトウ「......。コラムを終わらせる必要、ないのでは?」

  • ※ ご愛読ありがとうございました。本コラムはリニューアルして復活!......するかしないか、神のみぞ知るです。