虎と魔王【とある編集室の井戸端会議】


井山裕太棋聖
VS
芝野虎丸名人
  • 新人編集サイトウ「日本、いや世界中の囲碁ファンの皆さん! はじめまして。週刊碁の新人編集者、サイトウです! アラフォーアニオタの囲碁10級!」
  • 先輩編集ホリー 「そんなワールドワイドなホームページじゃないですけどね。同じく週刊碁のアラサー編集ホリーです。棋力は一応高段。唐突ですが、我々2人による不定期コラムが始まりました。その経緯をサイトウさん、お願いします」
  • サイトウ「日本棋院ホームページに足りないもの、それは! 情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ!そしてなによりもッ!! 速さが...」
  • ホリー 「記事が足りない」
  • サイトウ「......。というホームページ担当部長の魂の叫びが、我々を動かしたというわけです」
  • ホリー 「(また余計な仕事が...)。はい。やる気満々ですので、よろしくお願いします」
  • サイトウ「ちなみに、サイトウの先ほどの叫びの意味が知りたい方は『スクライド』でググってください。名作中の名作です」
  • ホリー 「......本題に入っていいですか?」

名人戦七番勝負、8月25日(火)開幕!
  • サイトウ「ということで、名人戦七番勝負がついに始まりますね!」
  • ホリー 「芝野虎丸名人に挑むのは、井山裕太棋聖。奇しくも本因坊戦とは立場を変えての対戦です」
  • サイトウ「そちらは井山さんが4-1で防衛。内容はどんな感じでしたっけ?」
  • ホリー 「え? 週刊碁読んでますよね?」
  • サイトウ「え? 碁の内容なんか、わかるわけないじゃですか。10級ですよ、僕。週刊碁って難しすぎ」
  • ホリー 「......。読者の皆様、難しくてすみません」
  • サイトウ「そうそう、反省してください」
  • ホリー 「......。反省の証として、級位者でも楽しめる講座『目指せ初段!サイトウさんの冒険』を始めたいと思うので、ご期待ください」
  • サイトウ「え? 冗談ですよね?」
  • ホリー 「......。本因坊戦は、井山さんの充実ぶりが際立っていた――という評判でした。頂上決戦という前評判からすれば、少し物足りないシリーズだったかもしれません」
  • サイトウ「(あれ? 講座はスルー?)......虎ちゃん、調子悪かったんですかね」
  • ホリー 「そういう見方もあれば、井山さんの調整が完璧――強すぎたという見方もあります。その姿はまさに魔王」
  • サイトウ「じゃあ、名人戦も井山さん有利か」
  • ホリー 「おそらく、そう見る人が多いはず。ちなみに井山さんが挑戦者として番碁に登場したのは14回。そのうち奪取に失敗したのは、たったの2回だけです」
  • サイトウ「ええ!? 強すぎでしょ! 狙った獲物は逃がさない......ルパン三世的な!?」
  • ホリー 「ルパンは盗みの成功率、意外と低かったりするんですけどね。井山さんが強いのは周知の事実。でもデータ的には、若い側が有利なんですよ。井山さんと芝野さんの年齢差、わかりますか?」
  • サイトウ「井山さんが31歳、虎ちゃんが20歳でしたっけ」
  • ホリー 「そうです。芝野さんは11月に21歳になります。『10歳以上年上の挑戦者が七大タイトル奪取に成功したのは、65戦中17例』圧倒的に少ないでしょう?」
  • サイトウ「つまり?」
  • ホリー 「ふたを開けてみるまで、わからんってことですね」
  • サイトウ「月並みですね」
  • ホリー 「まぁ、いいじゃないですか。僕も本業で忙しいんですよ」
  • サイトウ「その割には、きちんとデータを調べるあたり流石っす、(年下だけど偉そうな)先輩!」
  • ホリー 「え? 週刊碁に掲載したデータをそのまま喋っただけですよ。調べたのは編集長」
  • サイトウ「人のふんどしでドヤ顔してたのか...」
  • ホリー 「省エネ省エネ。名人戦の取材にエネルギーを残しておかないと。8月24日発売の週刊碁に、もっと詳しいデータも載ってますので、そちらもぜひ!」
  • サイトウ「まぁ楽しみなことに変わりはないです! 碁の内容はわかりませんけど!」