対局のテクニック:序盤 一手目を打つ

まずは序盤の布石です。陣地の骨格をつくり、基礎工事をする目的があります。
一局の打ちはじめはどこに打ったらいいのでしょうか。囲碁のルールではどこに打ってもよいのですが、碁盤の性質から理論的に考えてみましょう。

碁盤の性質

碁盤は四つの隅(すみ)があり、隅と隅の間に辺(へん)、また真ん中に「中央」と呼ばれる部分に分けられます。 また、碁盤の一番外側をまわる線を「第一線」、その内側を「第二線」・「第三線」といいます。

(1図)

「第一線・第二線」は海中・地下

碁盤の一番外側をまわっている「第一線」、その内側をまわっている「第二線」は碁盤の中で低い所(赤い線)になります。
碁盤を地球とすると海中や地下の部分に相当します。

第一線、第二線は碁を打ちはじめる一手目にしては低すぎます。碁盤全体を広く見れば、陣地の骨格をつくるには不適切で面白くないことがわかります。
(第一線、第二線は中盤以降・終盤でとくに大事な線となります)

「第五線」以上は空・宇宙

「第五線」またそれ以上内側をまわる線は、碁盤の中で高い所(青い線)になります。
碁盤を地球とすれば空から宇宙という感じです。

「第一線・第二線」から打ちはじめるよりはマシですが、陣地の骨格をつくるには難しく、バラバラになってしまうかもしれません。
(第五線以上は中盤でとくに大事な線となります)

「第三線・第四線」は大地

「第三線」「第四線」は、碁盤の中で高くもなく低くもない中くらいの所(緑の線)になります。
碁盤を地球とすれば、空と海の真ん中ですから、地面・大地になります。

打ちはじめるには、高からず低からずで陣地の骨格づくりには最適です。

碁盤の隅・辺・中央

序盤の布石で打ちはじめは、「第三線・第四線」が良いことはわかりました。
それでは隅(すみ)、辺のどちらがよいでしょうか。

2図を見てください。
黒石を8個ずつ使ってそれぞれ隅、辺、中央で陣地をつくりました。
隅は16目、辺は8目、中央は4目の陣地ができました。
同じ石数でも陣地はずいぶんちがいますね。
隅は盤の端をうまく利用してもっとも能率的であることがわかるでしょう。
次が辺、そして中央がもっとも不利となります。

(2図)

つまり、序盤の布石で打ちはじめは第三線・第四線の隅が最適であるというのが一般的な結論です。
次は隅の第一手をもう少し詳しく説明いたします。

隅の第一手の種類

(a)は星(ほし)
(b)二ヶ所は小目(こもく)
(c)二ヶ所は目(もく)はずし
(d)二ヶ所は高目(たかもく)
(e)は三々(さんさん)といいます。

序盤の布石・打ちはじめは第三線・第四線の隅が最適であると学びました。
通常、第三線の手は地を囲みやすいのですが、中央への影響力が弱くなりやすい。また第四線は逆に中央への影響力は強くなるが、地を囲むのが甘くなるというのが一般的な考え方です。
それぞれの一手にどんな意味があるのか、学びましょう。

(隅の呼称)

(a) 星

「星」は位(くらい)の高い第四線の隅中心点にあります。
辺や中央の外側に向かって影響力が強い一手です。
そのかわり隅の地に関しては多少甘く、たとえば1図(e)三々の所に白から入られるスペースがあります。

(e) 三々

「三々」は位の低い第三線の隅中心点にあります。
隅の地に関しては固く、白からの進入を防いでいます。
そのかわり、辺や中央の外側に向かっての影響力が弱くなります。

(b) 小目

「小目」は星から一路低い位置にずれています。(二ヶ所ある)
小目は隅でも三々についで位の低い位置にあります。
隅の地を囲むのには都合のよい一手ですが、「隅を地にするぞ」という手ですから白は1図左の(c)や(d)(黒からも打ちたい所)に打って黒が地を固めるのを妨害することになります。

(d) 高目

「高目」は星から一路高い位置にずれています。(二ヶ所ある)
位が高いだけに白から隅に入られやすいので、隅の地を囲むというよりは、中央指向の目的で使われる一手です。
進入してきた白を圧迫しながら外側の勢力を伸ばすには有力な手です。

以上で、打ちはじめの第一手は終わりです。
『碁は一手打つだけでもいろいろ意味があるんだな』と何となくお分かりいただくだけでよいと思います。

次は二手目以降の打ち方についてご説明いたしましょう。