井山、DeepZenGoともに連敗【ワールド碁チャンピオンシップ2回戦】


日本、中国、韓国の代表棋士と囲碁AI代表による初の囲碁世界戦ワールド碁チャンピオンシップ(特設サイトは こちら)の2日目が3月22日に大阪市北区の日本棋院関西総本部で行われた。

本棋戦は、21日から23日まで総当りリーグ3回戦で争われ、勝数が同数の場合は24日にプレーオフ(優勝決定戦)を実施する。22日は総当たりリーグ2回戦の2局が行われた。持時間3時間。

朴廷桓九段(韓国)-DeepZenGo(囲碁AI)戦が先に終局。347手まで朴がDeepZenGoに黒番中押し勝ちをおさめた。ヨセに問題あり、と控室で指摘が相次ぐ内容だったが、途中までは朴九段を苦しめた。

別室での朴とDeepZenGoの開発チーム代表の加藤英樹氏のぶら下がり取材が終わり、それを待つかのように、井山裕太九段(日本)-芈昱廷九段(中国)戦が終局。286手まで芈が井山に白番2目半勝ちをおさめた。終局時間は18時8分。持時間3時間のうち残り時間は両者ともに1分だった。

多くの報道陣が対局室へなだれ込む。対局室のインタビューとぶら下がり取材が終わり、検討の足りなかった(?)井山は日本棋士の集まる控室に立ち寄り、趙治勲名誉名人をはじめ多くの棋士と検討を続けた。

23日は、2勝同士の芈昱廷九段(中国)-朴廷桓九段(韓国)戦、3位・4位決定戦となってしまった井山裕太九段(日本)-DeepZenGo(囲碁AI)戦が行われる。

【おことわり】
※DZGはDeepZenGoの略。
※ネット対局「幽玄の間」の中継では井山―芈戦を284手終局としていますが、訂正が入り286手完になりました。

局後のコメント

韓国代表・朴廷桓九段のコメント

途中までは自分の形勢が悪かった。ヨセに入ってDeepZenGoが乱れたので勝てた。前局も逆転で勝てたと思っている。第3局も自然体で打ちたい。(本局の)白44のツケはAIの良い手だと思う。私も対応が最善ではなかった。ここの折衝で形勢を損じていると思う。

DeepZenGo開発チーム代表・加藤英樹氏コメント

昨日の敗戦を受けて応急措置を施したが、ヨセの乱れは一晩ではいかんともしがたい。上辺の「眼あり眼なし」をセキと勘違いしていたようで、そこの判断で勝率の計算が乱高下していた。

中国代表・芈昱廷九段のコメント

左下で井山先生が間違えた。もっとハッキリ手になっていた。明日の朴九段のとの対局は、(朴九段とは)あまり勝率が良くないような記憶ですが、がんばりたいと思います。

日本代表・井山裕太九段のコメント

序盤、少し悪いかな、と思っていたが、中盤にかけては「そんなに悪くない」と思う時間が長かった。でも、かなり寄り付きを食ってしまった。結果は残念ですが、納得のいく碁は打てました。左下で手をつけたところは、秒読みだったこともあって最善手がわからなかった。明日のDeepZenGo戦は、昨日の棋譜しかまだ見ていないけれど、なかなかの内容だと思います。いいパフォーマンスを見せたい。

(写真撮影・長尾迪)

苦しい時間が長かった井山。我慢の末に来た逆転のチャンスに迫り来るのは秒読みの声――
局後、井山の「間違い」を指摘する
負けこそしたが完全燃焼の井山(右)。「納得の内容」とコメントを搾り出した
朴は「この2局とも逆転です」と語り「明日も自然体で」
井山―芈戦が続くため、プレス控室に移動しぶら下がり取材を受ける朴(左)と加藤氏

殺到する報道陣の質問がDZGに集中。「応急措置を施したのですが」と加藤氏
地元・大阪はもちろん、日本、世界の期待を背にする井山。優勝の目は無くなったが、ファンの声援に応えるため、「井山の碁」で魅せてくれるに違いない

ワールド碁チャンピオンシップ2回戦

黒:朴廷桓九段 白:DeepZenGo 黒中押し勝ち


ワールド碁チャンピオンシップ2回戦

黒:井山裕太九段 白:芈昱廷九段 白2目半勝ち


対戦表

DZG井山勝敗
DeepZenGo(囲碁AI) ●(3/21) ●(3/22) 3/23 0-2
芈 昱廷九段(中 国) ○(3/21) 3/23 ○(3/22) 2-0
朴 廷桓九段(韓 国) ○(3/22) 3/23 ○(3/21) 2-0
井山裕太九段(日 本) 3/23 ●(3/22) ●(3/21) 0-2

ワールド碁チャンピオンシップは、日本棋院ネット対局「幽玄の間」で全局解説付きでライブ中継いたします。

ホテル阪急インターナショナル、日本棋院東京本院(詳細)、梅田囲碁サロン(詳細)で大盤解説会が行われます。東京本院と梅田囲碁サロンは事前申込不要で参加可能です。

囲碁プレミアム囲碁・将棋チャンネルYouTubeライブニコニコ生放送で中継されます。