ありがとう熊本!!―初の地方開催・つるりん杯団体戦in九州KUMAMOTOを終えて「つるりん式観る碁のすすめ」

 思えば3年前、第1回つるりん杯を終えた打ち上げの席で、りん( 林漢傑八段)の放った一言がすべての始まりでした。「つるちゃんの故郷、熊本でもつるりん杯やろうよ」。つる(鶴山淳志八段)は思ったそうです。「当日の笑顔だけで運営はほとんど全部僕がやっているのに、また調子のいいことを」。けれど、りんの言葉は結果的につるの熊本魂に火を付けました。何としても故郷の熊本でつるりん杯をやりたい。最初は「できたらいいな」くらいだったのが、日に日に気持ちは強くなり、いつしか「絶対にやりたい」に変わっていました。幸い、つるには心強い仲間がいました。子どもの頃、共に囲碁を学んだ「熊本NPO子ども囲碁普及会」の皆さんです。30年以上前少年だった旧友は今、先輩のバトンを受け継ぎ熊本囲碁普及の中心を担っている。連絡してみると快く協力してくれることになり、話はとんとん拍子に進みました。
 そして2月22日、つるりん杯初の地方開催となった「つるりん杯団体戦in九州KUMAMOTO」はキャンセル待ちが出るほどの大盛況。会場の収容人数ギリギリの96チーム約300人が集まりました。「控えめに言って最高。熊本の方の囲碁への愛、優しさ、感動した(りん)」「熊本で生まれ育って本当に良かった。この大会ができたことは一生の宝物(つる)」
 今回は「つるりん杯団体戦in九州KUMAMOTO」の報告会。運営の舞台裏から当日の熱気、熊本への愛、今後の野望など、つる&りんが思いの丈を話します。


96チーム約300人が熱戦を繰り広げた。

つる = 鶴山淳志八段
りん = 林漢傑八段
  • りん アニキ~、今度いつ里帰りするの?私も一緒に行くから教えて~。
  • つる こんな弟を持った覚えはない!
  • りん えー、でも、つるりん杯の前日にアニキの実家で兄弟の契りを結んだじゃない。お父さん、お母さんとお酒を酌み交わして、馬刺しとからし蓮根とお父さんが育てた大根を食べたじゃない。「ここを実家だと思っていつでも遊びにおいで」って言ってもらったよ!
  • つる たしかに、うちの両親がそう言っているのは聞いた。でも、僕は弟にしたつもりはないから、遊びに行くなら勝手に行って来なさい(笑)。
  • りん つるさんったら、クールぶっちゃって。つるりん杯初の地方大会、それもつるさんの故郷、熊本での大成功だよ!こんな一大プロジェクトを成し遂げたんだからもう兄弟でもいいじゃない。
  • つる いや、それを言うならりんよりも熊本NPO子ども囲碁普及会の皆さんの方がよっぽど兄弟だよね。今回、りんにはメインの運営から外れてもらって、熊本の皆さんと完全タッグを組んだわけだけど、正直、それがなければ絶対に大会は開けなかった。
  • りん ・・・・それを言われるとグウの音も出ない。つるさんから「りんは当日来てくれればいいから」って言われた時、すごく寂しかった。
  • つる 本当に?実はちょっとホッとしてたんじゃないの(笑)?
  • りん まあ、それもそうだけど(笑)。けど、コンビとして長年やってるんだし、あっさり「いらない」って言われちゃうとちょっとショックというか。でも、そうだな、実際に大会に行ってみて納得した。つるさんは熊本と固い絆で結ばれているんだね。阿吽の呼吸っていうのかな、熊本の皆さんとつるさんで色んなことを乗り越えてきたんだなって思った。
  • つる それは本当にそうだね。今の自分があるのは熊本のおかげ。今回中心になって動いてくれたIさんは子どもの頃、一緒に囲碁を習っていた幼馴染だし、正直、縁の深さはちょっとコンビを組んだくらいのりんとは比べものにならない(笑)。ところで、りんは地方大会で必要不可欠な3大要素がなんだか分かる?
  • りん なになに、急に講義みたいに。でも、すごく興味あるな。えー何だろう、やる気、元気、熱気?
  • つる はい、不正解(笑)。それはね、場所、道具、人なんだよ。
  • りん ほうほう。
  • つる その中で一番大事なのは人。今回の場合はIさんを含む熊本NPO子ども囲碁普及会の皆さんだね。会場の「くまもと県民交流館パレア」は熊本で大会をやるならここしかないって前から思ってた場所だったんだけど、まずはここを押さえないと始まらない。でも、東京から会場を予約するって難しいから、その場所に住んでいる人の協力が絶対必要。あと、地方で大問題なのは道具だよね。東京だと日本棋院に碁盤も対局時計もそろっているから簡単だけど、地方だとそれを全部自前で用意しないといけない。最初はレンタルを考えたけど、費用がものすごくかかってとてもじゃないけどできないって分かったから、144組の碁盤と碁石と対局時計をいろんなところから持ち寄ってもらった。これも熊本の方がみんなで協力してくださってはじめてできること。
  • りん そうだよね、144組なんてとても1つの碁会所じゃそろえられないもんね。
  • つる 特に対局時計は碁会所でもそんなに置いてるところはないから、すごく頑張ってくださったみたい。後で戻す時に間違えたらいけないから時計1つ1つに「◯◯囲碁クラブ」みたいにシールを貼って、本当に大変だったと思う。
  • りん 人の力が大事なんだね。
  • つる そうなんだよ。告知も熱心にやってくださって、参加者300人のうち熊本県内の方が200人。残りの100人のうち、8割くらいが九州の他県からいらした方だった。
  • りん 熊本だけで200人集まるってすごくない?
  • つる いやーびっくりだよね。熊本の方もびっくりしてた。正直、熊本って東京から遠いし、熊本だけでそんなに集まるなんて思わないから、300人集めるのは厳しんじゃないかなって思ってた。でも、蓋を開けたらキャンセル待ちが出るほどだったんだよ。
  • りん 私も当日の熱気には圧倒されたよ。皆さんすごく嬉しそうで楽しそうだった。「50年ぶりに会いました」っていう方もいて、普段はあんまり大会に出てないような方まで参加してくださったみたいだったね。皆さん閉会式まで残って、何なら最後の片付けまで手伝ってくださって、最初から最後まで「本当に素敵だな。さすがつるさんの故郷だな」って感じた。
  • つる これが熊本なんですよ。
  • りん それでつるさん、次はどうするの?審判長、安田明夏初段の故郷、神戸でやっちゃう?それとも私の故郷、台湾?
  • つる 終わってすぐなんだから余韻に浸らせてよ。気が早い。
  • りん えー、だって、地方大会最高だったんだもん。「楽しい大会をありがとうございます」って何人もの人に言ってもらってさ、東京だと色々イベントがあるけど、地方って少ないじゃない。究極の目標「宝酒造杯」を目指すためにも、ここで立ち止まってはいられないっていうか。
  • つる 運営してない人に言われてもなぁ(笑)。
  • りん まあまあ(笑)。でも、実際のところ、つるさんの力があればできるんでしょ?なんかどんどんプロフェッショナル化してて、今回に関しては大会HPも自分でデザインしたって聞いたよ。クラス分けとかも上手いしさ、当日は私も頑張るし、他のところでもやろうよ!
  • つる そりゃ、やりたい気持ちはあるよね。熊本でもまたやりたいし、欲を言えば他の地方でもやってみたい。でも、さっき言ったみたいに場所、道具、人がなければどんなにやりたくてもできないんだよ。今回の成功は熊本の皆さんの力あってのものなんだから。だから、そうだなぁ、大会会場に心当たりがあって、碁盤、碁石、対局時計が何とか近隣で揃えられそうで、協力してくれる方がいる地域じゃないと難しいと思う。
  • りん 逆に言えば、いい場所があって、碁盤、碁石、対局時計が近隣で揃えられて、協力してくれる方がいる地域ならできる。我々つるりんだけじゃできなくても、タッグを組めばできるってことだね!
  • つる まあ、そういうことになるか。
  • りん それじゃあここで募集しよう!全国各地の囲碁を愛する皆様、「私の県は囲碁大会ができそうです、一緒にやりましょう」という方がいらしたらぜひお声がけください。ここにいるつるが頑張ります。私、りんは当日お邪魔して笑顔を振りまきます。よろしくお願いします!!
記・品田渓

つるりんコンビと安田明夏審判長