団体戦とは心躍るものです。ましてやそれが国別対抗で、各国のトップ選手が勢揃いで、勝ち抜き戦ともなれば、血湧き肉躍ってしまうのも仕方がありません。
日中韓、3カ国のトップ選手5人が勝ち抜き戦を行う第27回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の最終ラウンドが2月6日に終了し、日本は惜しくも準優勝という結果に終わりました。しかし、その道中で感じた高揚感、期待感は間違いなく金メダル級だったでしょう。特に井山裕太碁聖が韓国の朴廷桓九段、中国の丁浩九段を破り、日本が単独首位に立った瞬間は震えるほど感動したものです。
つる(鶴山淳志八段)&りん(林漢傑八段)も嬉しさと感動のあまり少々おかしくなってしまったようで、井山碁聖が丁九段を破った直後のXでは「井山さん!井山さん!!井山さーーん!!!(りん)」「いぃぃやぁぁまぁぁさぁぁぁん(つる)」と井山碁聖の名前をしきりに叫んでいました。
ということで、今回の「つるりん式観る碁のすすめ」では井山碁聖の素晴らしい戦いぶりをつる&りんが徹底解説します。
つる = 鶴山淳志八段
りん = 林漢傑八段
- りん つくづく思うんだけど、我々、井山さんと同じ時代に生まれて幸せだよね。農心杯で3連勝って、とてつもないことじゃない。しかも最終ラウンドの2勝はあの朴廷桓と丁浩だよ?本当にさ、素晴らしすぎるでしょ。
- つる 2人とも超トップ棋士だからね。というか、この農心杯は基本的に各国のトップ5がそのまま勝ち抜き戦をして、後の方になればなるほどより強い人が出てくる仕組みになってるから、始まってすぐじゃない、後半戦での3連勝ってとんでもないんだよ。
- りん その通り!!また内容がね、緻密なのに大胆で、正確なのに独創的。「これこれ、これが、我らが誇る魔王様なんだよ!!!」って思ったよね。
- つる 2局とも名局だったけど、りんは名場面一つあげてって言われたらどこを取る?
- りん いやぁ、悩むけど、やっぱり丁戦の大ヨセかな。「井山さんは基本的に全部が強くて完璧だけど、唯一の弱点は秒読みでのヨセ」って中韓ではいわれているらしくて、今回丁さんはその弱点を突く打ち方を意識的にしてたと思うんだよね。
- つる 序盤からずっと形勢が拮抗してて、確かに、そういう風に見えたよね。
- りん でも、逆に井山さんがヨセで抜け出すんですよ。私は1図、黒1のマガリがそのターニングポイントになったと思ってる。普通は白2が大きいから黒1で2と打ちたくなっちゃうところなんだけど、井山さんの読みはもっと先を行ってるんだよね。黒11のワリコミが黒1のマガリを打った時からの狙いで、これがものすごく厳しかった。この後も難しいヨセがずっと続くんだけど、井山さんのヨセは完璧でまさに神算。本当に感動した。
- つる 分かる。ただね、私は朴戦での井山さんの圧倒的なパワー、あっちに心を鷲掴みされちゃったよね。
- りん あー、それも分かる。私は繊細なヨセ勝負とかにグッとくるけど、つるさんみたいなゴリゴリした棋風の人はそうだよね。
- つる そう、やっぱり力って素晴らしいよ。上辺の白地で黒の井山さんが仕掛けるんだけど、まとめ方がすごく難しそうで、どうなるんだろうって思ってた。でも、2図、黒1ですよ。ここから大胆に上辺黒を全部捨てて厚みを作ると黒15、17って右辺白を取りに行くんだよね。それでもって、本当にこの白全部取っちゃうの。すごいよ、すごすぎるよ。
- りん 右下の形とか、ただの定石だもんね。普通、定石がそのまま取られるとか想像しない。
- つる そう。井山さんが本気になったら取れない石はないんじゃないかな。
- りん 強いね。
- つる いや、強いよ。やっぱり井山さんはすごい。これは声を大にして言いたい。
- りん 韓国の絶対エース、申眞諝九段との碁もかなり善戦してたし・・・。っていうかさ、申九段は何なの。農心杯6年間負けなし。前々回に至っては1人で6連勝して韓国を優勝させてるんだよ。日本の棋士は公式戦では誰も勝ったことがなくて、世界ランキングは当然長らく第1位。どういうことなの?
- つる 僕に聞かれても・・・。
- りん あんまりにも強すぎてもうちょっと想像がつかない。もう分からない。
- つる すごすぎて絶望的な気持ちになるよね。だけど、今回の日本は過去一この打倒申九段に迫ったんじゃない?井山さんも善戦してたし、一力(遼棋聖)さんに関してはもうほとんど勝ってたと言ってもいいくらいに迫ってたよ。
- りん あれは惜しかった。一力さんの打ち回しが本当に素晴らしくて、終始申九段を押していただけに、一手のミスで逆転されてしまった時には悲しかったけど、よくよく考えてみれば今まで惜しいとかもなかったんだから、すごい進歩だよね。
- つる そうだよ。これからじゃない?やっぱり、一力さんが応氏杯で優勝してから潮目が変わったと思うよ。日本が優勝を狙える位置に付けていることが多くなったもの。
- りん それじゃあ、最後にもう一度叫んでおく?
- つる ん?何を?
- りん 何ってもちろん、井山さんの名前をでしょ。
- つる なるほど、確かに叫んでおいた方がいいね。いっせいのせっ
- つるりん 井山さ~ん、ありがとう~!!!これからもよろしくお願いしま~す!!!
記・品田渓

