やっぱり囲碁が好き―つる&りんの『伍と碁』談議2「つるりん式観る碁のすすめ」

 囲碁マンガ『伍と碁』がますます熱く、面白くなっています。そこで今回は約半年ぶりの『伍と碁』談義。主人公、秋山恒星の前に立ちはだかったのはあの現役棋士のオマージュキャラクター。積年の思いを吐き出す二人の対局はつる(鶴山淳志八段)&りん(林漢傑八段)の囲碁への思いをかき立てているようで・・・。



©蓮尾トウト・仲里はるな/講談社

つる = 鶴山淳志八段
りん = 林漢傑八段

  • りん つるさん、囲碁は好き?
  • つる まあ。
  • りん 分かってないのはお前だ!好きなくせに!!
  • つる いや、だから、ちゃんと普通に好きだよ。
  • りん 普通に・・・、自分にウソをつくな!本当は大好きなんだろう?
  • つる もう、めんどくさいな(笑)。僕は桐生光士郎じゃないから!大企業の跡取りじゃないし、とっくにプロになっちゃったよ。
  • りん そうか(笑)。でも、これだけは言わせて、読んでるうちに「オレの囲碁への愛はこんなもんじゃない」って気持ちになってこない?
  • つる それはわかる。『ヒカルの碁』もそうだったけど、ちょっとやる気出ないなとか、負けてもう打ちたくないなとか思っている時に読むと気持ちが高まって「囲碁しよう、打ちたい」って思うよね。
  • りん そうなのよ。また光士郎のキャラクターがいいじゃない。御曹司で棋風はハンマーでしょ。
  • つる 一力遼棋聖×上野愛咲美女流名人だよね。
  • りん 光士郎は超大企業の御曹司だからプロにはなってはいけないとお父さんから厳しく言われて、でも囲碁への思いがどんどん膨らんでおかしくなってるわけだけど、本当に一力さんはプロ棋士になれて良かったね。
  • つる 囲碁をもっとやりたいって、理屈じゃないんだよね。恒星が光士郎に「強いのに、囲碁やめるなんて言うな!」って食ってかかった時、榎本翠が天原慶宗七冠に負けたのを指して「私の強さなど貴重ではないのだ」って言うじゃない。本当にそうなんだよ。自分より強い人は山ほどいて、それでも自分がプロである意味なんて、なかなか答えられるもんじゃない。まして光士郎は桐生グループの御曹司で、それは唯一無二の役割だからそっちに専念するべきって言うのはある意味当然。
  • りん 一力さんだってそうだよね。今や世界一だけど、子どもの頃はどんなに有望でも必ず大成するなんて保証はない。経済的にやりたいことは何でもできて、でも将来家業を継ぐことを期待されてて・・・。そういう環境で、それでも囲碁を選んでここまで来たっていうのは、「向いてるから」とか「有名になりたいから」とかそんなんじゃない、「囲碁が好き。ただ囲碁を打っていたい」っていう原動力があったからだと思う。
  • つる 恒星が囲碁を打つ理由も、最初は「囲碁で一番になって有名になる」が動機だったのに、今は完全に「やっぱり囲碁が好き」に変わってるよね。
  • りん 白山小金のおかげだね。
  • つる 白山って・・・、ずっと院生Dクラスの一番下で親に辞めさせられた後、町内会で無双して自己肯定感を上げていたあの?
  • りん その白山ですよ(笑)。彼はすごいんだよ。人の心を打つのは強さじゃない、向き合う姿勢です。
  • つる お、いい事言う!ところで、恒星対光士郎の碁って、一力さんと愛咲美ちゃんの碁だよね。
  • りん そうなんですよ。ここでこの碁を使うって最高だよね。さすがだね。
  • つる 第28期竜星戦決勝。あれは記録にも記憶にも残るすごい碁だった。
  • りん 井山(裕太王座)さんのオマージュキャラクター、天原七冠もますますカッコいいし、自分に正直になった光士郎がどうなっていくのかも楽しみ。
  • つる ところで、来たる10月5日、『伍と碁』第3巻の発売を記念して、「伍と碁」杯ハイスクール囲碁フェスティバル2025が行われるらしいよ。
  • りん 全国の高校生に来てもらいたい!そして、熱い碁を打ってほしい!
  • つる ワンコインで参加できるのもいいよね。囲碁で得られる仲間って本当にいいものだと思うからぜひいろんな人と打ってもらいたいね。
記・品田渓