ホームページがより快適に! 経営改革報告(第5回)

 2025年1月9日以降、日本棋院のホームページが快適に閲覧できるようになったことにお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。従来のシステムは2014年に構築されたもので、老朽化が進んでいました。その一方で、掲載コンテンツの大容量化により、ページ表示に10秒以上かかることもあり、「サイトが重い」とのご意見を多くいただいていました。また、トップページのメニューが多すぎて、目的の情報にたどり着きにくいという課題もありました。

 こうした状況を踏まえ、運用性とコストの両面から検討を重ねた結果、システムを最新のクラウドサーバー環境へ移行するとともに、トップページのメニューを整理・統合し、使いやすさの向上を図りました。さらにニュースエリアでは、従来の「タイトルと掲載日」に加えて関連画像を表示することで、視認性と情報の分かりやすさを高めています(下図参照)。


日本棋院ホームページのトップページのニュースエリア(2025年10月8日)

 改善の成果は数字に表れています。2025年1月9日から8月31日までの累計アクセス数は706,458回となり、前年同期の636,048回から11.1%増加しました。主要ページの閲覧数も軒並み増加しています(下表参照)。一方で、以前のメニュー構成に慣れていたユーザーからは、「クリック回数が増えた」とのご意見も寄せられています。

 実は、トップページ・メニューの簡素化にあたっては、マーケティング理論の一つである「ジャムの法則」を参考にしました。これは、米国コロンビア大学のアイエンガー教授とスタンフォード大学のリーパー教授による実験で示されたもので、「選択肢が多すぎるとユーザーが選べなくなり、売上げが下がる」という結果が得られています。このような人間心理を踏まえ、近年では多くのウェブサイトがメニューの簡素化を進めています。日本棋院のトップページも、こうした流れを取り入れたものですので、ご理解いただければ幸いです。


サイトメニュー アクセス数の増加率(%)
お知らせ 242.2%
棋戦 28.8%
棋士 25.8%
大会・イベント 66.9%
施設案内 87.6%
出版・販売 70.3%
会員・免状 39.7%
  • ※ アクセス数の増加率は、「2024年1月9日~8月31日の間の各サイトメニューへのアクセス数」から「2025年1月9日~8月31日までの間の各サイトメニューへのアクセス数」への増加率。

 今回の改善は、思いがけないところで好評をいただきました。日本棋院の職員から、サイトの閲覧や更新にかかる作業時間が短縮され、業務効率が向上したとの声が寄せられたのです。今回の改善に尽力いただいたコンテンツ事業部のT職員に、心より感謝申し上げます。

 ホームページの改善は、スタートしたばかりです。経営改革委員会からは、モバイルファースト、会員サービスの再構築など、いくつかの指摘を受けています。詳細はまだお伝えできる段階ではありませんが、スマートフォン・ユーザーを意識し、見やすく、使いやすく、そして役立つサイトへと進化させていく予定です。

元経営改革委員会 副委員長 稲田 修一

稲田 修一(技術経営士 情報未来創研代表)
総務省で、モバイル、セキュリティ、情報流通などの政策立案や技術開発業務に従事。東京大学特任教授として、IoT/データ活用によるビジネス革新や価値創造について研究。一般社団法人情報通信技術委員会で、標準化推進業務に従事。早稲田大学教授として、研究マネジメント業務に従事。現在、コンサルティング活動の他、東京観光財団「東京都次世代型MICE推進会議」委員、スマートIoT推進フォーラム「IoT価値創造推進チーム」リーダー、日本棋院理事などとしても活動。