日本棋院経営改革委員会副委員長の稲田と申します。「囲碁の魅力と効用」がホームページに掲載されました。これは本委員会から中間報告に基づく日本棋院の取り組みの一部ですので、 その経緯などを報告しておきます。
本委員会では囲碁の普及を進めるにあたり、その魅力と効用の明確化が必要との意見が出されました。これを受け、本委員会の潮田邦夫委員(技術経営士、元NTTドコモ常務取締役)が、 囲碁ファンである元経営者の方々に相談し、まとめて下さったものです。
囲碁は、奈良時代の聖武天皇時代の碁盤が正倉院にあるように、1000年を超える長い歴史をもつ伝統文化です。また、グローバルな競技です。紫式部や徳川家康など平安時代の貴族、戦国時代の武将に愛されただけでなく、世界的にもアップルCEOだったスティーブ・ジョブズ、マイクロソフトCEOだったビル・ゲイツなどに愛されています。ちなみに日本棋院にも 『雪の盤』という由緒ある碁盤があり、囲碁資料館に展示されています。

『雪の盤』 徳川将軍家にあったとされる一本の榧から作られた「雪」「月」「花」の三面のうちの一つ。そのなかでも最上級とされた盤であったと思われる。
正月の打ち初めに用いられたと伝えられている。制作年代はわからないが、文政3年(1820年)に修復された記録がある。
囲碁の効用については、ビジネスパーソンと経営者向け、それから子ども向けのそれぞれに対してまとめていただきました。まず、ビジネスパーソンと経営者向けですが、「問題解決力」「不透明な先の読めない時代に対応できる創造力」「グローバルコミュニケーション力」を身に付けるのに役立ちます。
本委員会の梅澤一彦委員(ニチレイロジグループ会長)は、囲碁が育む「大局的に物事を考える習慣」「つながりを重視する思考」は、企業経営の戦略と驚くほど共通していると述べておられます。
一方、子ども向けには、AI時代に必要な能力である「問題解決力」や「空間認識力」を身に付けるのに役立ちます。昔は記憶力などが重要でしたが、現在は必要とされる能力が変わっています。
また、コミュニケーション力と社会性を身につけるのにも役立ちます。囲碁を楽しむ中で、子どもの知的能力が育まれれば嬉しいですね。
中国や韓国、台湾では、囲碁は「子どもの頭を良くする習い事」として認識されています。日本でも、AI時代に必要な能力を囲碁で育みましょう!
総務省で、モバイル、セキュリティ、情報流通などの政策立案や技術開発業務に従事。東京大学特任教授として、IoT/データ活用によるビジネス革新や価値創造について研究。一般社団法人情報通信技術委員会で、標準化推進業務に従事。早稲田大学教授として、研究マネジメント業務に従事。現在、コンサルティング活動の他、東京観光財団「東京都次世代型MICE推進会議」委員、スマートIoT推進フォーラム「IoT価値創造推進チーム」リーダー、日本棋院理事などとしても活動。



