第73期本因坊戦―「明治維新・戊辰150年記念」―"本因坊戦第1局初手を観戦した歌人が詠んだ歌"


 今期本因坊戦は「明治維新・戊辰150年記念」と銘打って開催されている。
 現在も会津と長州には維新をめぐるわだかまりがあるが、本因坊戦を通じて会津と長州の交流を進めるため、対局に合わせた歌人交流が企画された。
 第1局の萩対局に会津の歌人を招き、第5局の会津対局に長州の歌人を招いて、「150年の歴史と碁を詠む」と題し短歌を詠み合うイベントだ。三枝昻之・日本歌人クラブ会長(宮中歌会始選者)ら日本を代表する中央の歌人にも協力いただいた。
 萩では、第1局の初手を観戦後、萩城趾、松陰神社など維新ゆかりの地を吟行し、それぞれ1首ずつ作歌してもらい、22人による歌会が開催。その中で初手観戦を詠んだ歌が3首あったので以下、発表したい。
 なお6月30日と7月1日に会津若松市の東山温泉「今昔亭」で行われる第5局では山口県の歌人が同市を訪れる。

  • 夢を追ふ青年棋士の確信の一手を畏る明倫館に
  • 千手先読み合う前にゆっくりと盤を拭きゆく折目正しさ
  • 本因坊その初手如何に天元に発止と打ちし棋士思ひ出づ
  • ※ 「明倫館」は対局会場の名称で、もともと長州藩の藩校だった建物(その後、小学校になり、建て替えて今は観光の拠点となっている)。
注目を集める本シリーズ。第1局は多くの報道陣も駆けつけた