観戦棋士の系譜「つるりん式見る碁のすすめ~こぼれ話」


観戦棋士の系譜




 ここでは週刊碁連載中の「つるりん式見る碁のすすめ~四字熟語編」で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。

 「晴耕雨読」では寺山怜六段が選ばれました。そしてライバルとして首藤瞬八段が登場しました。お二人とも観戦記を書くライター(観戦記者)でもあります。ということで、今回は観戦記を書く棋士、「観戦棋士」のご紹介です。

 観戦棋士といえば最初に浮かぶのが中山典之七段(1932-2010)です。親しみを込めてテンコレ先生と呼ばれることが多いです。著書に華やかな昭和の碁界を軽妙な筆致でつづった『実録囲碁講談』(岩波現代文庫)などがあります。



観戦棋士のレジェンド、テンコレ先生こと中山典之七段

 テンコレ先生の入段は29歳。名記録係として数々の重要対局に立ち会いました。日本棋院の機関紙『囲碁クラブ』にコラムを掲載し始めたところ、朝日新聞担当者の目にとまり、名人戦の観戦記を執筆するようになったと著書『昭和囲碁風雲録(下)』(岩波現代文庫)にあります。

 観戦記は多くの場合、専門のライターが執筆していますが、テンコレ先生以降にも観戦棋士がときどき登場しました。例えばベテランでは大矢浩一九段(日本経済新聞・王座戦)や吉田美香八段(日本経済新聞・王座戦)がいらっしゃいます。

 そして今、空前の観戦棋士ブームを迎えているといっても過言ではありません。寺山怜六段(朝日新聞・名人戦)、首藤瞬八段(新聞三社連合・天元戦、新聞囲碁連盟・碁聖戦、共同通信・女流本因坊戦)、大橋成哉七段(読売新聞・棋聖戦)、柳澤理志六段(中日新聞・王冠戦)...。実に多くの観戦棋士が活躍しています。

 テンコレ先生は囲碁が好きすぎて、どんなに才能がないと言われても何度もチャレンジして棋士になったそうです。その愛を先生は文章という形にして残されました。
 棋士のみなさんは誰もが囲碁が好きで好きでたまらない方たちです。今、囲碁愛にあふれた書き手がこれほど多くいることを天国にいるテンコレ先生は喜んでいらっしゃる...、そんな気がします。

記・編集K