全国高校囲碁選手権で選手・関係者目線のコンテンツ制作に挑戦~日本棋院の新たな試みとその成果~ 経営改革報告(第4回)

 2025年8月4日~6日の3日間、「第49回文部科学大臣杯 全国高等学校囲碁選手権大会 全国大会」が日本棋院東京本院で開催されました。全国の高校囲碁部が集うこの大会は、団体戦・個人戦ともに熱戦が繰り広げられ、会場では「負けても笑顔」の高校生たちが囲碁を心から楽しむ姿が印象的でした


女子団体戦の1次リーグ全景

男子団体戦の1次リーグ全景

 今大会では、日本棋院が初めて「選手・関係者目線のコンテンツ制作」に挑戦しました。きっかけは、コンテンツ企画委員会に参加しているプロ制作者からの「高校生は動画制作が上手。紹介動画を投稿してもらえば、本人たちも喜ぶはず」という一言。期末試験の時期にもかかわらず、そして急なお願いにもかかわらず、12校から寄せられた個性豊かな紹介動画をSNSサイトのXなどで紹介したところ、「囲碁部のPRになった」といった声が多く聞かれました。
 さらに、棋士の河原裕二段竹下奈那初段が高校生役として出演したショート動画の配信、出場選手へのインタビュー、大会関連コンテンツの一覧サイトの公開、決勝戦の棋譜解説など、出場者や関係者に喜んでもらうことを目標に多角的なコンテンツを展開しました。結果として、昨年のYouTubeでの動画再生数が約1.4万回だったのに対し、今年は各高校の紹介動画とYouTubeでの動画再生数を合わせて約14.3万回と10倍以上に伸びました。

 これらの企画・実行を担ったのは、日本棋院コンテンツ事業部の岡本英明さんです。「費用対効果を意識するように」とのプロ制作者からの指摘を受け、AIによるテロップ挿入や編集ツールの活用など、省人化にも工夫を凝らしました。もちろん、反省点もあります。動画投稿の依頼が直前になったこと、大会中のインタビュー動画制作の事前告知が漏れたことなどです。段取りと根回しは重要です!
 今回の優勝は以下の通りでした。

  • 男子団体戦:駒場東邦高等学校(東京)
  • 女子団体戦:南山高等学校女子部(愛知)
  • 男子個人戦:渡邉 彩登(大宮高等学校・埼玉)
  • 女子個人戦:倉谷 圭乃(女子聖学院高等学校・東京)(※敬称略)

 優勝校・優勝者の皆さま、おめでとうございます。また、大会にご参加頂いた皆さま、ありがとうございました。来年はさらに多くの方に喜んでいただけるよう、工夫を重ねてまいります。皆さまとともに、囲碁の魅力を広げてまいります。

経営改革委員会 副委員長 稲田 修一

稲田 修一(技術経営士 情報未来創研代表)
総務省で、モバイル、セキュリティ、情報流通などの政策立案や技術開発業務に従事。東京大学特任教授として、IoT/データ活用によるビジネス革新や価値創造について研究。一般社団法人情報通信技術委員会で、標準化推進業務に従事。早稲田大学教授として、研究マネジメント業務に従事。現在、コンサルティング活動の他、東京観光財団「東京都次世代型MICE推進会議」委員、スマートIoT推進フォーラム「IoT価値創造推進チーム」リーダー、日本棋院理事などとしても活動。