井山天元の6連覇か、一力碁聖の初天元位獲得なるか、天元戦五番勝負をリアルタイム中継

対局者プロフィール

井山 裕太天元(いやま・ゆうた)
生年月日
平成元年(1989年)5月24日生
入段
平成14年
所属
日本棋院関西総本部

略歴
1989年、大阪府出身。石井邦生九段に入門し、2002年にプロ入り(初段)。09年、名人戦で七大タイトルを初獲得し、九段。16年、史上初の七冠同時制覇。17年、2度目の七冠同時制覇。18年、LG杯準優勝、国民栄誉賞受賞。天元戦は第37期から3連覇、第41期から5連覇で通算8期獲得し、名誉天元の有資格者。「打ちたい手を打つ」を身上に、柔軟に打ち回す。
5番勝負への抱負
 一力碁聖は、言うまでもなくトップ棋士。この夏に碁聖戦で勝利し、初の七大タイトル保持者となりましたが、いつ取ってもおかしくない状態がここ数年続いていました。完成度が高く、読みの速さと正確さを武器にしていて、ヨセや計算能力といった終盤力にも定評があります。
 打つ手が本筋というか、変化球を使っていくというより、いい意味でまっすぐな碁。妥協することなく踏み込んでくる部分は自分と相通じるところがあり、対局していて読みの波長が近いと感じます。
 天元戦は3時間の持ち時間。ペース配分も含め考えながら、時間の使い方をより一層追究しているところです。いかに大事な場面に時間を費やせるかをテーマとしていて、序盤の事前研究をしっかりすることで、時間がもう少しあればこういうミスは出にくかったなという場面を減らしていこうと考えています。
 今年も天元として五番勝負を戦えることをうれしく思います。天元戦は、囲碁界にとって一年の締めくくりの棋戦で、自分自身としてもいい締めを迎えたい。新型コロナウイルスという状況の中で対局できることは幸せなこと。自分としては精いっぱいベストを尽くすだけです。ファンの皆さまに何かを感じていただけるような、内容のある戦いがしたいですね。


一力 遼碁聖(いちりき・りょう)
生年月日
平成9年(1997年)6月10日生
入段
平成22年夏季入段(平成23年度採用)
所属
日本棋院東京本院

略歴
1997年、宮城県出身。宋光復九段に入門し、2010年、夏季入段しプロ入り(2011年度採用)。14年、第1回グロービス杯世界囲碁U―20優勝。17年、王座戦挑戦。18年、棋聖戦・王座戦挑戦。20年、碁聖を奪取し初の七大タイトル獲得。天元戦は16、17年に連続挑戦しており、今回3回目の挑戦。読みの速さを武器に精度の高い終盤力が持ち味。
5番勝負への抱負
 3年ぶりに天元戦五番勝負の舞台に戻ってくることができました。前回は井山天元に3連敗という結果に終わってしまったので、それよりいい成績を残せるようにしたいです。
 井山天元は常に最強手を追求し、他の人が思いつかないような手を打ってくるので、たいへん厳しい相手。最近は序盤でペースをつかんで以降、中盤で相手を圧倒する碁を打っている印象があり、特に調子が良さそうだと感じています。
 同世代や、芝野虎丸名人ら年下の棋士の活躍が発奮材料になっています。8月に碁聖を取ることができ、少し気が楽になった部分があります。タイトルホルダーとしての責任もあり、今まで以上にがんばらなければいけません。
 大学を卒業後、囲碁の勉強時間は増えています。詰め碁や棋譜並べに加え、若手とAI(人工知能)を活用して序盤の研究を重点的に行っています。
 入社した河北新報社からは、棋士としての活動を応援いただいていて、励みになります。碁聖を取ったときに高校や大学の友人からもお祝いの言葉をいただき、新たにがんばろうという原動力になっています。
 井山天元との碁は激しい碁になることが多いので、観戦いただく皆さんには、そのような展開を楽しんでいただけたらうれしいです。

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