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棋士が選んだこの一手

< テーマ図（白番） >

　井山裕太王座と許家元九段の一戦です。許先生が黒1にハネたところ。
　ここで井山先生の△三子のサバキに注目です。

< 1図 >

　白１～９のサバキなら分かりやすいですが、△一子を犠牲にしてこの程度のサバキでは白はやや不満です。
< 2図 >

　実戦は白1から黒4までを交換してから白5とシチョウを逃げ出しました。大胆な構想と決断力です。
< 3図 >

　続いて黒6でシチョウにカカえられますが、ここで白７、９が井山先生の狙いです。
< 4図 >

　△に対して黒1と逃げるのは白2とこちらのシチョウを逃げ出すことができます。お互いにシチョウを逃げ出しこの先も難解になりそうです。
< 5図 >

　ちなみに3図の黒6で1とゲタで取るのも白2、4から白6のノゾキが好手。結局aのシチョウとbの逃げ出しが見合いになり白の注文通りです。
< 6図 >

　4図も5図も不満と見て許先生は黒1と抜きました。白も2と抜き、黒3まで上辺は一段落しましたが、白は先手で上辺を安定することができて楽しい展開になったのではないでしょうか。井山先生の大胆な構想と決断力、大変勉強になりました。