棋士が選んだこの一手

宮崎龍太郎が選んだこの一手

対局日 1960年12月21日
棋戦名 第6期最高位決定戦挑戦五番勝負第1局 総譜はこちら
対局者
(段位は当時)
黒 藤沢秀行最高位
白 坂田栄男九段



  • 藤沢秀行最高位
  • VS

  • 坂田栄男九段


< テーマ図(白番) >
 昭和を代表するお二人の碁から選びました。
 私がこの一局に出会ったのは10代の頃で、当時院生か入段して間もない頃であったと記憶しています。
 白が薄く黒がリードしている局面で打たれた白の次の一手は――、
  • < 1図 >
     白1のツケ! でした。当時この手を見て控室では歓声が上がったそうです。
     とにかくこの一手には驚きと感動があり、坂田先生の棋譜に魅了され勉強していた時期なので、自分もこのような手が打ちたい、坂田先生に一歩でも半歩でも近づきたいという気持ちが、さらに強くなっていったことを覚えています。
  • < 2図 >
     白△の意図は仮に黒2なら白3から7まで白△の一子が切断を防いでくれるというもの。これは白△が大いに働いているのがわかりますね。

  • < 3図 >
     では黒1と出てくるとどうなるのかというと、今度は白2が用意の一手です。黒3のオサエには白4、6が狙いです。黒11まで一本道。攻め合いは黒勝ちですが、白は先手で補強することができたので白12から反撃できます。白aが利き筋になったので黒bからの切断がなくなったことも見逃せません。これは白が逆転しています。
  • < 4図 >
     実戦は前図の黒3で1と打ち、以下黒7までフリカワリとなりました。右下の黒を取りながら大石をシノいだ白が満足なワカレです。
     今の時代はAIの判断が欠かせないものとなっていますので、調べてみたところ、AIも1図の白1を候補手に上げていました。

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