

全国の学校から寄せられた実施報告と成果を紹介します。

東京都三鷹市にある認可保育園です。
創設者 鈴木平三郎の「幼児の躾でその一生がきまる」という理念を重んじ、子ども達の育成に取り組んでいます。
0、1、2歳児は年齢ごとに保育を行い、個々の欲求を満たしながら、安全に留意し、保育士との信頼関係を築き、情緒の安定を目指しています。
3、4、5歳児は興味関心を広げられるよう保育の環境を整え、縦割り保育クラス編成の中で子ども達相互の関わりを通して、思いやりや社会性を育てていきます。
また、横割り保育や外来講師による指導(囲碁、体操、音楽リズム)など適時、年齢別保育も実施しています。
囲碁を通して、集中力・推理力・コミュニケーション能力を高めるために導入しました。
他者への敬意・礼儀作法も身につけることも目的としています。
囲碁教室は、1コマ1時間ですが、4歳児も5歳児も集中して先生の話を聞いています。友達との対戦は楽しみながらも、どうしたら勝てるのか、熟考しながら碁石を置いています。
子ども達の能力は柔軟で、1、2回でルールを理解し、友達と対局をすることができます。対局に勝てるとより意欲が増すようで、家庭でアプリを使って、練習を積み重ねていくようです。一方で、負けると泣いてしまうこともありますが、それも経験の一つなので、保育士になぐさめてもらい、気持ちを立て直して取り組んでいます。みんな囲碁教室を毎回楽しみにしており、さらに強くなれるよう頑張っています。
幼児が、1時間楽しみながら学べるほど囲碁は魅力的な活動であることに、保育士として驚いています。
家庭でもアプリを活用して、囲碁に親しんでいる子どももいて、保護者より、子どもの方がルールを早く習得している様子です。
囲碁棋士として様々な教育現場に関わる中で、幼児期における囲碁教育の可能性をこれほど自然な形で体現している実践は、大変意義深い取り組みであると感じました。
囲碁は単なる勝敗を競う活動ではありません。自ら考え、選択し、その結果を受け止めて次につなげていく、その思考のプロセスそのものを体験できる文化です。子どもたちは対局を通じて、集中力や判断力だけでなく、相手を尊重する姿勢や挑戦する心を自然に身につけており、その姿に教育としての大きな可能性を感じました。
当園が大切にされているモンテッソーリ教育の考え方、発達段階に応じて「答えを与えるのではなく、自ら気づくことを促す」という姿勢は、囲碁の本質とも深く重なります。幼児期から囲碁に触れることで、思考する楽しさや学ぶ喜びを自然に体験できる環境は、子どもたちの成長にとって意義深いものだと感じています。囲碁は年齢や発達段階に応じて学び方が変化する奥深い文化であり、幼児期からの体験には大きな意味があると感じています。
また、近年では HJJ GO のようなデジタル学習環境を補助的に活用することで、対面での体験と振り返り学習を組み合わせた新しい囲碁教育の形も広がりつつあります。伝統文化としての囲碁と現代のテクノロジーが融合することで、子どもたちが自分のペースで学びを深められる可能性を感じました。
囲碁が持つ「考える文化」としての価値が、幼児教育の現場において自然に根付いていることに、改めて大きな可能性を感じています。囲碁は日本の伝統文化であると同時に、現代教育においても大きな可能性を持つ学びの一つです。
囲碁という学びを通じて培われる様々な力が、これからの子どもたちの人生において大きな支えとなることを願っております。子どもたちが自ら考え未来を切り拓いていく力を育んでいけることを、囲碁棋士として心より願っております。