流水秀栄

流水秀栄

e 碁800円(税込)

i 碁840円(税込)

発売日 2013年9月27日

223頁

流水秀栄古典名局選集

 古来、名人と呼ばれる棋士は十指に余りますが、名人中の名人は秀栄を措いて他にないと思われます。
 それは実力が史上随一、という意味においてではありません。
 人によっては道策を史上ナンバーワンにあげるでしょうし、また丈和という人もいます。
 そうではなくて、名人中の名人と称するのは、その碁打ち気質においてです。
 頑固、狷介(けんかい)、精進、清廉といったところが、秀栄の碁打ち像を言い表す形容になるでしょうが、どう言おうが秀栄は度が過ぎるほどに徹底した人物であったようです。
 そこから編み出された秀栄の打碁は、流れる水のごとくに淡々とし、また凍てつく氷のごとききびしさをたたえています。
 私が本書を著すにあたって改めて打碁を検討し、とくに感じ入ったのは後者のきびしさ、はげしさの一面でした。
 柔らかな石の流ればかりが秀栄流ではありません。
 名人と呼ばれるほどの人はみな両面的であり、そこにいわゆる深さがあるのでしょう。
 古碁を鑑賞するのは、けっして浮世離れした趣味ではありません。
 平成時代の現代の碁を見聞するのと、そんなにはかけ離れていません。
 時代によってスタイルの違いはありますが、それを取っ払って見れば、碁の真実はいつも一つだと気付きます。