仲邑菫二段との三番勝負を終えて~藤沢里菜女流名人インタビュー 【コラム:品田渓】


 藤沢里菜女流名人仲邑菫二段が挑戦した第33期女流名人戦挑戦手合三番勝負は藤沢の2連勝で幕を閉じた。急成長を遂げる仲邑と戦ってどんなことを思ったのか。第一人者として次世代のトップランナーの挑戦を受けて立ち、見事に防衛、5連覇を成し遂げた藤沢に、今期の三番勝負を振り返ってもらった。

  • ― タイトル防衛おめでとうございます。最初に、三番勝負からしばらくたった今のお気持ちをお聞かせください。
  • ○ ありがとうございます。今シリーズは第1局と第2局が中1日と短期決戦で、あっという間という印象でした。まだ実感はないですが、防衛できてうれしいです。
  • ― 今シリーズは、仲邑二段の初タイトル戦ということもあり、大変な注目を集めました。仲邑二段とは普段仲が良い印象ですが、やりにくさはなかったですか?
  • ○ それは全くなかったです。いつものタイトル戦のように、盤面に集中できました。
  • ― 今回はヒール役とおっしゃっていましたが。
  • ○ そう思っていたのですが、応援してくださる方もたくさんいらっしゃって(笑)。改めて、支えてくださっている方々のありがたさを感じました。
  • ― 対局を振り返っていただいて、仲邑二段の「強さ」をどう感じられましたか?
  • ○ 今回が初のタイトル戦でしたが、普段通りに打てていて...。大舞台でも全く動じないメンタルの強さがすごいなと思いました。私の13歳の頃とは比較にならないです(笑)。私がそういった部分が成長してきたのは18、19歳頃でしょうか。その頃から平常心で対局に臨むことができるようになってきたと思います。
  • ― 技術的なところではいかがでしょうか?
  • ○ 手厚くて読みが強い。そして何よりも判断力が良いと思います。その時々の形勢を正確に把握しているのが盤を通しても伝わってきます。
  • ― 第2局で決着した後に、仲邑二段が控室にいらっしゃったそうですね。
  • ○ 対局後、休憩していたらドアが開いてビックリしたのですけど、まさかの菫ちゃんでした(笑)。その後、一緒に碁の振り返りをして、打ち上げ会場に行くまでは同じ車で「名探偵コナン」の話で盛り上がりました。2人ともおしゃべりなので(笑)。菫ちゃんとは研究会が一緒なのですが、この日も研究会の後のような雰囲気で。この切り替えのはやさも菫ちゃんの長所だと思います。
  • ― 2連勝でタイトル防衛、5連覇達成で「名誉女流名人」を名乗る資格も得ました。
  • ○ 井山先生(裕太名人)謝先生(依旻七段)の連覇は見てきたのですが、自分ができるとは思っていなかったので...。不思議な感覚ですね。毎シリーズ、一生懸命にやった結果、気付けば積み上がっていた、というような感じです。
  • ― もうすぐ4月が終わりということで、2022年も「序盤」から「中盤」に入っていきます。今後の抱負をお願いします。
  • ○ 例年、この頃から忙しくなる印象を持っています。近いところでは、本戦ベスト8に進んでいる天元戦や女流立葵杯の防衛戦など一局一局精いっぱい頑張りたいです。あと、国際戦も。SENKO CUPで優勝した愛咲美ちゃん(上野愛咲美女流棋聖)に続けるように、私も頑張ります。どの対局も楽しみです!
  • ― ありがとうございました。


第33期女流名人戦第2局


仲邑二段との対戦を振り返る藤沢女流名人
記・品田渓